2019年10月30日

お屠蘇について

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 先日お寺に新年の縁起物のパンフレットが届いており、その中に「屠蘇散(とそさん)」というお屠蘇を作るもとが試供品として入っておりました。新年の準備をするにはまだ少し早い 時期ですが、今回はお屠蘇について書いていきたいと思い ます。

お屠蘇とは

 お屠蘇とは複数の薬草を調合した「屠蘇散」という袋を酒やみりんに浸して作る薬酒で、新年最初に飲んでその年の健康と家内安全を願うものです。

お屠蘇の由来

お屠蘇の由来ははっきり定まっていません。中国で唐の時代あたりから飲まれるようになったようで、以下のような説があります。

1 『蘇』は悪⻤の名であり、⻤を『屠(ほふ)る』という意味から『屠蘇』となった

2 昔の中国に屠蘇庵という庵(いおり)に住んでいる人がおり、その人が毎年除夜に薬包を村の人々に贈っていた。もらった村人がそれを井戶の水に浸し元日に取り上げて酒に混ぜた

日本に渡来したのは嵯峨天皇の時代ではないかといわれております。

お神酒(みき)との違い

上記の通り、お屠蘇は􏰂年に飲む薬酒であるのに対し、お神酒は神様にお供えしたお酒で、新年に限らず 1年を通して飲まれます。ちなみに、お屠蘇にもお神酒にも飲む順番があり、お屠蘇は年少者から年⻑者の順番で飲み、お神酒は年⻑者から年少者の順で飲みます。

お屠蘇の作り方

古来は屠蘇散を除夜に井戶の水に浸し、元日に取り出して酒と混ぜて飲んだそうです。みりんが普及しだした江戶時代頃からは酒の代わりにみりんを使っていたようです。 そのため、現代でもお屠蘇は本みりんを使います。本みりんに屠蘇散を入れ、4時間ほど浸けたのち屠蘇散を引き上げます。家で飲む際には大晦日寝る前に屠蘇散を本みりんに入れ、起きたら引き上げるくらいでよいでしょう。本みりんだけでは甘すぎるという方はお好みで日本酒も混ぜると甘みがやわらぎます。

みりんについて

お屠蘇に入れるみりんは本みりんを使ってください。みりん風調味料や発酵調味料(料理酒)などは塩分が含まれておりあまりお勧めできません。また、本みりんは米由来の甘みのみで調味料が一切入っていないのに対し、みりん 風調味料などはショ糖や水あめなどで人工的に甘みがつけられているため、本みりんのほうが甘さがなめらかで飲みやすいようです。

金剛寺は除夜のお参りでお屠蘇を振舞っています!

 金剛寺は今年より除夜の鐘のお参りを夕方に行います。年をまたいでお参りができるのが一番理想的なのですが、夜中の参拝に支障をきたすことが増えているためお参りの時間帯を夕方にずらしました。

 本年は本みりんで作ったお屠蘇(アルコールを飛ばしたお屠蘇も併せて)もご用意させていただく予定です。一年の感謝を込めてぜひお参りにいらしてください。今年身内に不幸があった方もお寺でのお参りは全く問題ありませんので、お礼参りと初詣を兼ねてお参りにお越しください。
タグ:法話
posted by 樺戸山金剛寺 at 14:07| Comment(0) | 法話

2019年09月19日

永代供養で後悔しないために

近年、様々な理由で永代供養を選ばれる方が増えています。しかしながら、永代供養とはいったい何なのかしっかり認識している方は非常に少ないといえます。また、分かっているつもりでも実際は全然違う理解をしていたという方も多いのが現状です。そこで、今回は永代供養とはいったい何なのかについて書いていこうと思います。
永代供養の定義
『永代供養』の定義は、仏教語大辞典(中村元著)によると、「寺院が檀家の請いにより布施を受けて、死者のために毎月の忌日、毎年の祥月命日に読経をし、寺院の責任において代々伝えて永代に及ぼすこと。」です。言い換えると「菩提寺が故人を永代(寺院が存続する限り)に個別で回向すること」です。ここでいう回向(えこう)とは、永代供養帳に故人の戒名を記し、日日の勤行後、または法会(ほうえ)の際に故人の戒名を読み上げて、「今日のお参りはあなたのために行いました」とすることです。個別で回向する頻度はお寺によって様々です。
永代供養が別の意味に置き換えられつつある現代
近年、永代供養という言葉の意味が別の意味に替わりつつあります。というのも、『合祀(=合葬墓へ納骨)すること』を『永代供養』と呼んでいるケースが非常に多くみられるのです。 たとえば
  • ●合葬墓に合祀をして、合祀後は、個別でも合葬墓全体としても回向は一切行わない
  • ●合葬墓に合祀をし、個別の回向はなく、その後の供養は合同慰霊祭のみ
このようなケースであっても『永代供養』と書かれていたりします。 特に寺院以外が管理運営者となっている霊園の永代供養は上のどちらかになることが多いです。さらに言えば寺院が運営していても合祀のことを永代供養と称して利用者を集めているケースが散見されます。 このような場合、合葬墓へ納骨する行為を永代供養としており、本来の「永代にわたって個別に供養する」という部分が抜け落ちているのです。なぜそのようなことが起こったかというと、『合祀』や『合葬墓への納骨』という言葉を使うよりも言葉の響きが良いため、合祀を『永代供養』と表現するようになったようです。
どんな人が利用するの?
本来の永代供養は以下のような方が利用されています。
  • ●先祖を見る人が絶えてしまうため、今後の供養をお寺に委ねたい
  • ●自らの死後、子供がいないので供養を予めお寺に委ねたい
  • ●自分でも先祖供養は行うものの、お寺でもそれとは別に供養してほしい
永代供養をする際確認すべきこと
永代供養を検討する場合確認しておくべきことを以下にまとめてみました
●管理運営者
 管理運営者がお寺なのか、自治体なのか、一般事業者なのかは、永代供養の継続性に大きな影響を与えます。一般事業者の場合、採算が合わないと撤退する可能性もあるため十分注意が必要です。実際、永代供養と称する合葬墓を作ったものの採算が取れないため1年で廃業した事業者も存在します。また、宗教法人が運営しているように見えても、実際は事業会社が運営しているというケースもありますので、宗教法人だから安心というわけでもありません。
●合祀とセットなのか
『永代供養』が合祀のことを指しているのか、本来の永代供養を指しているのか、その2つのセットなのかも確認する必要があります。また、永代供養という名の合祀である場合、個別に回向がある永代供養なのか、単に合祀されるだけで個別の回向はないのか、なども確認しておく必要があるでしょう。
●個別供養(回向)の頻度
納骨の時だけ、年一度、月1回、毎日など。
●費用
当山での永代供養
当山における永代供養は、合祀は含まない本来の意味での永代供養です。永代供養帳が2種類あり、月々の命日に故人の戒名を読み上げ回向する方法と日日の勤行で回向を行う特別永代供養とを行っております。それ以外にも報恩会として永代供養の方のための法会を年一回行い、法会中に永代供養を奉納された方の戒名を読み上げ回向させていただいております。永代供養をご検討されている方はお寺までお問い合わせください。
タグ:法話
posted by 樺戸山金剛寺 at 18:01| Comment(0) | 法話

2018年07月13日

線香は『におい』?『かおり』?

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『におい』に敏感な現代
最近『におい』対策の商品が増えているように感じます。部屋のにおいを消すための消臭剤や消臭スプレー、洗濯物に強い香り付けをするような柔軟剤など、日常の不快なにおいを消すツールが非常に多く取り揃えられています。仏事の中の線香においてもその傾向はみられるようになってきています。『線香臭さ』が気にならない微香・微煙さらには無香・無煙タイプが量販店で売られている線香の主流になりつつあるようです。

線香は『臭(くさ)い』!?
本来、仏前へ供える『お香』と香りを楽しむための『お香』との区別はないのですが、全く別物と思っている方もいるようです。それはおそらく我々の身近なお店に置いてある線香の品揃えのせいなのかもしれません。量販店で売られている仏前用線香は一箱あたりの量をできるだけ多く、かつ安い値段で提供できるよう製造されたものが多いため、無煙無臭タイプでないものだと、煙たいものやきつい香りのものが多いです。仏前用線香として量販店で売っているものがそのようなタイプであるため、線香=煙たい、くさい、というイメージにつながったのかもしれません。

そういったことからも現代において、『線香の香り』は極端な言い方をすれば『消さなければならない悪臭』に近いものに分類され極力無くす方に向かっているように思われます。化学物質が大量に入れられた線香のにおいが線香の香りであると勘違いされたまま『線香=臭(くさ)いもの』と認識されつつある現状を非常にもったいなく思っています。このような認識があるせいかはわかりませんが、葬儀・法事・日常の仏前へのお供え物の中において、お花や果物・菓子などのお供え物と比較して最も軽んじられがちなお供え物が『お香(=線香・焼香』)であると私は感じています。

なぜお香を供えるのか
お香はお釈迦様が誕生されるよりも以前、今から3,000年以上前から用いられており、それが中国を経て日本に伝わったといわれております。お香は自らの体を清めるために用いるものとされるだけでなく、亡くなった人が四十九日までのあいだに食べることができる唯一のものであると古くから言われておりました。人が亡くなってから四十九日の間まで線香を絶やしてはいけないというのもこのためなのです。

香十徳
宋の詩人である黄庭堅(こうていけん)によって詠まれたといわれる『香十徳』という詩があります。これはお香を焚くことによって得られる効能を表した詩で、日本には一休宗純が紹介したといわれています。
感格鬼神 感覚を鬼神のごとく研ぎ澄まし、
清浄心身 心身を清らかにし
能除汚穢 よくけがれを取り除き
能覚睡眠 よく眠気を覚まし
静中成友 静けさの中に安らぎをもたらし
塵裏偸閑 忙しい時にもちょっとした時間で楽しむことができる
多̪而不厭 多くても邪魔にならず
寡而為足 少なくても十分に足りる
久蔵不朽 長い間貯蔵しても劣化せず
常用無障 常に用いても差し障りはない
昔からお香はいろいろな国や宗教の人々に心の安息材として使われてきたのです。

お香の種類
それではお香を選ぶ際どのように選べばよいのでしょうか?お香といっても様々な形状があり、含まれる成分によって香りも全く異なってきます。比較的身近なお香の分類は以下の3つです。

線香:タブの木の樹皮を粉末にしたものを『つなぎ』として様々な香木や香料を入れたもの。香木や香料の比率が高いほど高級品といわれる。
焼香:香木などを刻んだものを薫じて香りを出す
塗香(ずこう):香木などを粉末状にしたものを手や体に塗る

以下は古くからお香の原料とされている主な香木です。
白檀(びゃくだん):香木の中では最も軽い香り。西洋のアロマにも「サンダルウッド」という名前で使用される。甘い香りが特徴で、木自体が香るため常温でも香りがする
沈香(じんこう):木の樹脂が年月を経て木の内部に蓄積した部分。樹脂が沈着した木は重くなり水に沈むため『沈水香木(じんすいこうぼく)』〔=沈香〕と呼ばれる。常温では香らず薫じたときに初めて香りが出る。産地によって香りに差がある
伽羅(きゃら):沈香の中でも特に最上級のもの。産出量は極めて少なく、その香りは「甘・酸・辛・苦・鹹(しおからい)」の五味に通じると言われている。価格が高騰し続けており、現在ではグラム当たりの価格が金の10倍ほどになっている。

ほかにも、お香には丁子(ちょうじ)・龍脳(りゅうのう)・桂皮(けいひ)〔=シナモン〕など漢方薬や香辛料にも使われるものが香りづけの成分として使われており、天然の香料を使ったお香は上記のような様々な成分を配合して作られています。線香と焼香とで比較すると線香のほうが手軽に使える上に香りも軽いものが多いため、お試し用の線香などでいろいろな香りを試したうえで自分に合ったものを見つけるのが良いと思います。

線香アレルギーについて
稀(まれ)に『線香アレルギー』という文言(もんごん)を見ることがありますが、これはあまりに乱暴な表現であると言わざるを得ません。医師がブログなどで平然とそのような用語を使っている場合もあり驚いてしまいます。例えて言うならば「シーフードパスタを食べたらアレルギー反応が出たから私はどんな種類のパスタも食べられません」というのと同じようなものだからです。上記の通り、お香は単一の物質でできているものではなく、様々な成分が入っています。ゆえに、あるお香にはアレルギー反応を起こすのに別のお香では何でもないこともあります。最近は線香の中に化学物質を調合し香りを作っているものも数多く存在します。線香を焚いたときアレルギー反応があった場合、まずは天然香料を使った線香に切り替えるのも一つの手かもしれません。

最後に
お供え物の中で忘れられるどころか香り自体を抹殺されかねない状況になりつつあるお香。ほかのお供え物と比べ、同じ値段を出せば一度に使う量が多くないので長い間お供えし続けられるのもお香の特徴です。
 いろいろな芳香の商品がありますが、ぜひお香にも目を向けてみてください。高級なお香でなくともよい香りのお香はたくさんあります。いろいろなお香を試して自分のお気に入りの香りを見つけ日々のお参りの際お供えされてはいかがでしょうか?きっと、お参りの時の心持ちも変わってくることと思います。
タグ:法話
posted by 樺戸山金剛寺 at 00:00| Comment(0) | 法話