2020年10月09日

葬儀における優先順位

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葬儀にかかわる人の中で優先順位をつけるとしたらどのような順番になるか考えたことはあるでしょうか。

たとえば、以下の4つにグループ分けをした場合、優先順位はどのようになるでしょうか。

〇故人

故人の家族(親・子供・孫・兄弟姉妹)

故人の親戚

弔問客

冷静な状況で考えると、@故人A弔問客 B親戚 C家族という順序になる方がほとんどかと思います。故人を一番優先し、そこからお参りに来ていただく方で身内から遠い人を優先していくという形になるでしょう。

しかし、突然やってくる葬儀で()自分が喪主喪主近い立場上記のような優先順位と矛盾する選択をしてしまうことがあります。たとえば、

A)    故人のご遺体を家に連れて帰るかどうか

B)    葬儀の会場はどこにするか

C)    葬儀までの間、故人のそばに付き添うか

これらは誰の都合を優先するかで結論が変わってきます。

まず、)故人のご遺体を家に連れて帰るかどうかという状況を考えてみます。病気を患い病院で亡くなる方の多くは、生前に「家に帰りたい」とおっしゃいます。病気の治療などで生前家に帰れなかったとしたら、亡くなった後だとしても一度は家に連れて帰りたい、こう思うのは故人の気持ちを汲んだ行動でしょう。しかし、「家を片付ける手間が大変」「家に連れ帰っても葬儀の会場が別だからまた移動しなければいけない」「家に連れて帰ると近所の人への対応がある」ということが思い浮かんでしまい、家に帰さず式場へ直接移動する選択をする場合もあります。このような気持ちが先に立ってしまいますと、故人よりも家族の事情を優先してご遺体の安置先を決めることになりかねません

次に、)葬儀の会場はどこにするかを決めるにあたっても、故人や弔問客のことを考えて選ぶのか、家族や親族の都合を優先して選ぶのかで結論が変わります。

故人や弔問客を優先した場合、故人と縁のある人たちが来やすい会場や弔問客を十分収容できる広さの会場を選ぶでしょう。

ほとんど知人・親戚を呼ばない『家族葬』なのに家で行わず遠くの会場を借りて行う場合も、故人の気持ちを優先しているかどうか熟考する必要があります。

C)葬儀までの間故人のそばに付き添うか

つい最近までは、亡くなってから火葬されるまでの間ろうそくと線香が絶えないよう家族や親族が交代でお()をするということが当たり前でしたが、近年葬儀当日までろうそく線香を絶やさないということが行われない家庭が出てきています。さらに言えば、故人が葬儀会場遺体安置所に置き去りにされ付き添いすらないという状況起こり始めています。会場一晩取り残ないふとしたことで故人が一人きりにされている状間々(まま)あります。たとえば、

〇納棺後通夜が始まるまで会場に故人が独り取り残される

〇通夜終了後、喪主までも弔問客の見送りに出てしまった結果誰もいない会場に故人が独り残される

〇葬儀当日の朝(特に朝食の時間帯)、故人だけが会場に取り残されて遺族は誰もそばにいない

喪主の一番の役割は、故人にできる限り寄り添い、故人を独りにしないことです。この役割を喪主が果たせるように、ほかの遺族や親族が喪主をサポートするというのも、葬儀においては非常に重要なことであると私は考えます。


 様々な状況がありますので、すべての状況で故人を優先することはできないかもしれません。コロナ禍が会場選択等に影響を与えることもあります。また、故人が突然亡くなった場合と、長く危篤状態だった場合とでは、遺族の遺族が故人の死を受け入れるための時間にも大きな差がありますので、遺族が葬儀に臨むに際し取る行動は変わるかもしれません。

特に、長い間故人を介護していたり、長期の危篤状態で夜中も含め病院の往復を繰り返していた遺族は、大きなストレスを抱えている場合もあるでしょう。一生懸命介護・看病されていた遺族ほど「故人を最後の瞬間までしっかり看病することができた」という気持ちが生じ、亡くなった瞬間ある意味ホッとする気持ちになってしまうのかもしれません。

仮にそうだとしても、その方の肉体が消滅するまでの数日間はもう二度と戻りません。故人との最後のお別れのひと時を、故人のために使うというのは大事なことではないでしょうか。

葬儀は遺族のためでもあるし、故人を偲ぶ知人・友人の方たちのためでもあるのは間違いありません。しかし、まずは葬儀の目的が故人の冥福を祈ることであるならば、故人がどんなことを望んでいるのか、ということを何よりも優先して考えて葬儀の在り方を決めることは故人の供養にとって非常に大切なことではないでしょうか。

posted by 樺戸山金剛寺 at 22:15| Comment(0) | 法話

2019年10月30日

お屠蘇について

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 先日お寺に新年の縁起物のパンフレットが届いており、その中に「屠蘇散(とそさん)」というお屠蘇を作るもとが試供品として入っておりました。新年の準備をするにはまだ少し早い 時期ですが、今回はお屠蘇について書いていきたいと思い ます。

お屠蘇とは

 お屠蘇とは複数の薬草を調合した「屠蘇散」という袋を酒やみりんに浸して作る薬酒で、新年最初に飲んでその年の健康と家内安全を願うものです。

お屠蘇の由来

お屠蘇の由来ははっきり定まっていません。中国で唐の時代あたりから飲まれるようになったようで、以下のような説があります。

1 『蘇』は悪⻤の名であり、⻤を『屠(ほふ)る』という意味から『屠蘇』となった

2 昔の中国に屠蘇庵という庵(いおり)に住んでいる人がおり、その人が毎年除夜に薬包を村の人々に贈っていた。もらった村人がそれを井戶の水に浸し元日に取り上げて酒に混ぜた

日本に渡来したのは嵯峨天皇の時代ではないかといわれております。

お神酒(みき)との違い

上記の通り、お屠蘇は􏰂年に飲む薬酒であるのに対し、お神酒は神様にお供えしたお酒で、新年に限らず 1年を通して飲まれます。ちなみに、お屠蘇にもお神酒にも飲む順番があり、お屠蘇は年少者から年⻑者の順番で飲み、お神酒は年⻑者から年少者の順で飲みます。

お屠蘇の作り方

古来は屠蘇散を除夜に井戶の水に浸し、元日に取り出して酒と混ぜて飲んだそうです。みりんが普及しだした江戶時代頃からは酒の代わりにみりんを使っていたようです。 そのため、現代でもお屠蘇は本みりんを使います。本みりんに屠蘇散を入れ、4時間ほど浸けたのち屠蘇散を引き上げます。家で飲む際には大晦日寝る前に屠蘇散を本みりんに入れ、起きたら引き上げるくらいでよいでしょう。本みりんだけでは甘すぎるという方はお好みで日本酒も混ぜると甘みがやわらぎます。

みりんについて

お屠蘇に入れるみりんは本みりんを使ってください。みりん風調味料や発酵調味料(料理酒)などは塩分が含まれておりあまりお勧めできません。また、本みりんは米由来の甘みのみで調味料が一切入っていないのに対し、みりん 風調味料などはショ糖や水あめなどで人工的に甘みがつけられているため、本みりんのほうが甘さがなめらかで飲みやすいようです。

金剛寺は除夜のお参りでお屠蘇を振舞っています!

 金剛寺は今年より除夜の鐘のお参りを夕方に行います。年をまたいでお参りができるのが一番理想的なのですが、夜中の参拝に支障をきたすことが増えているためお参りの時間帯を夕方にずらしました。

 本年は本みりんで作ったお屠蘇(アルコールを飛ばしたお屠蘇も併せて)もご用意させていただく予定です。一年の感謝を込めてぜひお参りにいらしてください。今年身内に不幸があった方もお寺でのお参りは全く問題ありませんので、お礼参りと初詣を兼ねてお参りにお越しください。
タグ:法話
posted by 樺戸山金剛寺 at 14:07| Comment(0) | 法話

2019年09月19日

永代供養で後悔しないために

近年、様々な理由で永代供養を選ばれる方が増えています。しかしながら、永代供養とはいったい何なのかしっかり認識している方は非常に少ないといえます。また、分かっているつもりでも実際は全然違う理解をしていたという方も多いのが現状です。そこで、今回は永代供養とはいったい何なのかについて書いていこうと思います。
永代供養の定義
『永代供養』の定義は、仏教語大辞典(中村元著)によると、「寺院が檀家の請いにより布施を受けて、死者のために毎月の忌日、毎年の祥月命日に読経をし、寺院の責任において代々伝えて永代に及ぼすこと。」です。言い換えると「菩提寺が故人を永代(寺院が存続する限り)に個別で回向すること」です。ここでいう回向(えこう)とは、永代供養帳に故人の戒名を記し、日日の勤行後、または法会(ほうえ)の際に故人の戒名を読み上げて、「今日のお参りはあなたのために行いました」とすることです。個別で回向する頻度はお寺によって様々です。
永代供養が別の意味に置き換えられつつある現代
近年、永代供養という言葉の意味が別の意味に替わりつつあります。というのも、『合祀(=合葬墓へ納骨)すること』を『永代供養』と呼んでいるケースが非常に多くみられるのです。 たとえば
  • ●合葬墓に合祀をして、合祀後は、個別でも合葬墓全体としても回向は一切行わない
  • ●合葬墓に合祀をし、個別の回向はなく、その後の供養は合同慰霊祭のみ
このようなケースであっても『永代供養』と書かれていたりします。 特に寺院以外が管理運営者となっている霊園の永代供養は上のどちらかになることが多いです。さらに言えば寺院が運営していても合祀のことを永代供養と称して利用者を集めているケースが散見されます。 このような場合、合葬墓へ納骨する行為を永代供養としており、本来の「永代にわたって個別に供養する」という部分が抜け落ちているのです。なぜそのようなことが起こったかというと、『合祀』や『合葬墓への納骨』という言葉を使うよりも言葉の響きが良いため、合祀を『永代供養』と表現するようになったようです。
どんな人が利用するの?
本来の永代供養は以下のような方が利用されています。
  • ●先祖を見る人が絶えてしまうため、今後の供養をお寺に委ねたい
  • ●自らの死後、子供がいないので供養を予めお寺に委ねたい
  • ●自分でも先祖供養は行うものの、お寺でもそれとは別に供養してほしい
永代供養をする際確認すべきこと
永代供養を検討する場合確認しておくべきことを以下にまとめてみました
●管理運営者
 管理運営者がお寺なのか、自治体なのか、一般事業者なのかは、永代供養の継続性に大きな影響を与えます。一般事業者の場合、採算が合わないと撤退する可能性もあるため十分注意が必要です。実際、永代供養と称する合葬墓を作ったものの採算が取れないため1年で廃業した事業者も存在します。また、宗教法人が運営しているように見えても、実際は事業会社が運営しているというケースもありますので、宗教法人だから安心というわけでもありません。
●合祀とセットなのか
『永代供養』が合祀のことを指しているのか、本来の永代供養を指しているのか、その2つのセットなのかも確認する必要があります。また、永代供養という名の合祀である場合、個別に回向がある永代供養なのか、単に合祀されるだけで個別の回向はないのか、なども確認しておく必要があるでしょう。
●個別供養(回向)の頻度
納骨の時だけ、年一度、月1回、毎日など。
●費用
当山での永代供養
当山における永代供養は、合祀は含まない本来の意味での永代供養です。永代供養帳が2種類あり、月々の命日に故人の戒名を読み上げ回向する方法と日日の勤行で回向を行う特別永代供養とを行っております。それ以外にも報恩会として永代供養の方のための法会を年一回行い、法会中に永代供養を奉納された方の戒名を読み上げ回向させていただいております。永代供養をご検討されている方はお寺までお問い合わせください。
タグ:法話
posted by 樺戸山金剛寺 at 18:01| Comment(0) | 法話